他社株式転換社債はどうなのか

一時期ブームになった他社株式転換社債ですが、まだ件数が増えているようです。
クライアント等から相談で「証券会社から購入をすすめられているけどどうだろう?」という相談を受けます。
個人的には、あくまで個人的には絶対反対です!

そもそも他社株式転換社債とは、一般的にですが仕組債と呼ばれています。
債券ですが、デリバティブが組み込まれていて、よくあるのがある銘柄の株式(日本の上場株式など)の株価をトリガーにしています。株価に連動させていて、例えば基準株価から5%以上上昇すると早期償還となり額面が償還されるが、逆に70%以下になった場合は自動的にその対象株式に転換され償還される。つまり、債券だったのに株価の下がった株式になって返ってくるということです。
そして、株価が70%から105%の範囲内で動いているときには高い金利(4%くらい)で金利がもらえるというものです。

投資判断としては、対象となっている株式の価値は落ちないだろうという判断をして、4%の金利を得るために当該仕組債を購入することになります。
ここで気が付くと思いますが、この商品はリターンは4%と固定されているにも関わらず、リスクは株式が下がればどこまでも大きくなるということです。いわゆる「ハイリスク、ローリターン」の商品といえます。
しかも株式が上昇して105%は超えたらそこで償還で終了です。金利ももらえません。
逆に証券会社によってはとてもおいしい商品だといえるでしょう。だから証券会社は売りたいのです。

本当に株式の価値が落ちないと判断しているのであれば、その株式を直接買えばいいと思うのは私だけでしょうか。

しかも、株価が昔のように、対象会社の経営成績等により変動すればいいのですが、今ではロンドンがどうやら、中国がどうやら、マイナス金利がどうやらで大きくブレます。
70%に抵触するとあっというまに約3割が損したことになります。あまりにリスクが大きすぎます。

会計業界に15年くらいいますが、このトリガーに抵触して大きな損失をだしている例をたくさんみています。

あくまでも私見ですが、投資をする際はリスクとリターンを考慮して判断することが必要です。
そしてその判断によると、このようは他社株式転換社債はどうか、、、ということです。


2016年08月10日